マーク・L・サビカスとは、現在の米国キャリア心理学会でもっとも有名な学者の一人です。

従来の客観なものを元にしたキャリア論とは異なり、「意味あるストーリー」という主観的なキャリアを重視しています。

キャリア構築理論とは

キャリア構築理論とは、サビカスが自身の30年にわたる実務経験をまとめた理論です。

パーソンズやホランドといったマッチング理論の考え方を古典主義、スーパーなどの発達理論を現実主義とすると、サビカスはポスト現実主義にあたります。

職業的パーソナリティー(What)

職業的パーソナリティー(What)の定義は、「個人のキャリアに関連する能力、ニーズ、価値観、関心」です。

 

ただし、マッチング理論などの古典主義とは考え方が違います。マッチング理論は、人と環境をマッチングすることでより良いキャリアを歩めると考えており、そのため個人の職業興味や職業適性は客観的に測定できるという前提があるのです。

一方、職業的パーソナリティー(What)では、人と環境の適合度は時間とともに変化する可能性もあり、あくまで人の主観的なものと考えています。

 

サビカスは現実と照らし合わせた結果、このように考えた方がより現実に適していると考えたわけです。

キャリア・アダプタビリティ(How)

キャリア・アダプタビリティ(How)の定義は、「現在あるいは直近の職業的発達課題、職業的移行、個人的トラウマに対処するための個人のレディネスおよびリソース」です。

 

人と環境をマッチングさせることについて細かく論じていた従来のキャリア理論に対して、サビカスは人と環境が完全にマッチすることはないと考えました。完全に一致するものではないからこそ、人と環境に対する捉え方や解釈を常に変化させ続けることで、両者を近づけていくことが重要としていました。

 

このように人と環境の間の部分をキャリア・アダプタビリティ(How)と言い、キャリアを作っていくためにはなくてはならない考え方です。

また、キャリア・アダプタビリティ(How)には、関心度、統制、興味、自信の4つの次元があり、年齢を元にしたキャリア発達課題よりも個々人の段階に応じたキャリア発達課題を考える必要があるとしています。

ライフ・テーマ(Why)

ライフ・テーマ(Why)とは、職業生活について「なぜその仕事をするのか」、「どうしてその仕事を選んだのか」といった意味づけを主観的に行うことです。

わかりやすく言ってしまうと、人の根っこの部分となる価値観を探していく作業です。

 

現実と照らし合わせると、過去から未来までを一貫したキャリアにするのは難しいことです。

ただ、過去になぜその道へ進んだのか、現在の仕事を選んだキッカケは何か、などのライフ・テーマを探していくことで、一見バラバラに見えるキャリアにも一貫した意味づけを行うことができるようになります。

個人の主観によるからこそできることでもあります。

 

サビカスは、失業や転職、廃業など個人のキャリアの危機的な状況にこそ、ライフ・テーマを振り返ることが重要と考えています。

キャリア構築インタビュー

キャリア構築インタビューとは、クライアントが過去、現在、未来のそれぞれの出来事について意味づけを行い、ストーリーにして語ることです。

サビカスは、そのための質問を多数提供しています。

 

クライアントが意味づけを行って語ったストーリーは、実際に起こった出来事とは異なる可能性がありますが、再構成した物語によって未来に関する問題解決の糸口が見つかったりもします。

サビカスは、これを物語的真実と表現しています。

最後に

いかがでしたでしょうか?

今回は、現在の米国キャリア心理学会でもっとも有名な学者の一人マーク・L・サビカスの理論についてご紹介しました。

 

これまでは職業適性検査などの客観的なデータを元にキャリアについて考えることが主流だったにもかかわらず、個人の意味づけなど主観を取り入れたことでキャリア理論に大きな変化を与えました。

失業や転職、廃業などの危機的な状況にこそ、あなたが大事にしていることは何かをもう一度考えるようにしてくださいね。