これまで根本自己分析のセッションを通して、印象に残ったお話を少しだけ紹介したいと思います。詳しいご相談内容に関してはお話できかねますが、似たような境遇にある方や、同じようなお悩みを抱えている方には、少しでも参考になれば幸いです。
小手先のテクニックでは心は開けられない
心は「開けるの」ではなく「開く」もの
根本自己分析を通して、クライアントさんと対話をしていると、だんだんと心が開いていくのを感じます。思いもよらないようなエピソードを話してくれることが度々あります。
カウンセリングの中で、クライアントさんの多くを知ることができます。また「これはおそらく本心ではないな」とか「ここに何かもっと深い問題があるのではないか」といったことまでわかってしまうのです。
ワークが終わった後には、クライアントさんからは、「全て見透かされているようです」とか「なんで全部わかっちゃうんですか?」と言うような感想をいただくことが多くあります。中には、今まで、他の人に言ったことがないような話や、クライアントさん自身も忘れていたような過去のエピソードまで話していただくことがあります。
これらは、僕自身が、差し支えなければ話してもらえませんか?と言って聞き出した訳ではありません。
すべてクライアントさんの方からお話ししてくれるのです。
話したい!を引き出すカウンセリング
もちろん皆さん最初から話してくれるわけではありません。何か問題を抱えている場合は、皆さん最初は隠そうとします。
例えば、「いろいろあったんですよ」とか「嫌な思い出があったんです」とか「難しい家庭環境なんです」など、言葉を濁してはっきりと言おうとはしません。ましてやセンシティブな問題に関しては、なかなか話してはくれません。
そこに何かありそうなことはわかっていても、僕はあえて触れないようにします。クライアントさんご自身に話す準備ができなければ、本心は語ってはくれないのです。クライアントさんとの信頼関係が築けていなければクライアントさんも、心を開くことができないのです。
もう一つの理由としては、あえて聞かないことで、クライアントさん自身の「話したい!」と言う気持ちを高める時間を作っているのです。
基本的に、はっきりと言わずに言葉を濁す時は、本心は話したいのです。クライアントさん自身も本当にこの人に話していいのか?と言うことを判断している時間でもあるのです。それをあえて聞かないことで、クライアントさん自身のフラストレーションはどんどん高まっていくのです。
そもそもカウンセリングを受けられるという事は、誰かに話を聴いてもらいたい!相談にのってもらいたい!そんな気持ちが大きいわけですから、タイミングを焦ってはいけないわけです。クライアントさん自身の話したい気持ちが大きくなれば、聞かずとも全てを話してくれるのです。
傾聴とは「聞」かずに「聴」く姿勢
カウンセラーになりたての頃にやってしまいがちなミスは、クライアントさんを質問攻めにしてしまうことです。あくまでもカウンセリングはクライアントさんに話していただくことが重要なのです。
カウンセラーが聞きたいことを聴くのではなく、クライアントさんが話したいことを話してもらうことを優先すべきなのです。クライアントさんが話す準備ができるまでは、静かに待つこともカウンセリングの一部なのです。
どうしても、多くの人はテクニックの部分にばかり興味がいってしまいますが、本当に重要なのは「話を聴く姿勢」なのです。
傾聴という言葉で簡単に片付けられてしまいますが、傾聴は考えているほど簡単ではないのです。話を聴く以前にカウンセラー自身のあり方がなっていなければ、クライアントさんは心を開かず、全てを話してはくれないのです。
傾聴とは、先入観を捨て、相手を判断せず、ありのままの言葉に耳を傾ける姿勢のことです。クライアントさんへの向き合う姿勢ができていれば、自ずとクライアントさんは心を開き、ありのままを話してくれるのです。
母親の鬱をきっかけにカウンセリングの重要性を知り、カウンセリング資格を取得しました。話に真剣に耳を傾けることで、その人を深く知り、根本原因を見つけ出すお手伝いをしています。
小さなことでも、心に何か引っかかっているなら、独りで抱えずに話してください。