自己を知るとは、いったいどのようなことなのでしょうか?
最近、「自分の価値観」、「自分は何者か」、「自分の軸」、「自分の行動原理」のような自己分析の大切さをうたうキーワードが頻繁に出てきます。
では、そもそも自己分析は何のために行い、どのような方法でやれば良いのでしょうか?
今回は、自己分析をやるべき理由や自己分析のやり方がわからない人へおすすめの内容です。
実際に、マインドマップを使用した僕の自己分析も事例として載せるので、参考にしてみてください。
自己分析をする本当の理由
自己分析は、就職活動の時に誰もが一度は耳にする言葉です。
しかし、自己分析をする本当の理由を知っている人はほとんどいません。
試しに身近なサラリーマンに「自己分析って何?どうやってたれば良いの?」と聞いてみてください。
おそらく、はっきりと答えてくれる人がほとんどいないことに気づくでしょう。
では、まず「自己分析は何のためにやるのか」を考えていきましょう。
自己分析は何のためにするの?
自己分析は、ズバリあなたの人生を幸せで楽しいものにするために行うものです。
就職や仕事はあくまで人生の一つの要素でしかありません。
仕事をしているときもあれば、家族との団らんを楽しんでいるときもあります。
趣味に興じているときもあれば、友達と雑談をしている時間、自己成長に向けてセミナーを受けている時間もあります。
たしかに1日のスケジュールの多くは、仕事で埋まってしまうかもしれません。
しかし、時間の使い方を一生という長いスパンで見た場合、仕事以外の人生の要素も必ず存在しているはずです。
仕事を含めて、あなたがどのようなことにワクワクを感じ、楽しいひと時を過ごせるのか、その指針を見つけるのが自己分析の目的です。
就職活動の時に「自己分析をしなさい」と口酸っぱく言われるため、自己分析は就職・面接の際に行うものと勘違いしないようにしてください。
自分を知るとはどういうこと?
自分のことは自分が一番わかっていると思ったことはありませんか?
僕も初めて自己分析をした学生時代は、自己分析なんてしなくても自分がどういう人間なのか知っていると思っており、
実際に、10年近く経つまで初めて自分を知ることの本当の意味に気づきませんでした。
では、自分のことを知っている人と知ったつもりになっている人の違いは何だと思いますか?
答えは「自分がその行動を選択した理由の共通点(行動原理)を見つけているかどうか」です。
長い人生のうちにワクワクした経験はあなたにもあるはずです。
例えば、小さい頃にちょっと危険な森の中を友達と冒険したこと、辛い練習を乗り越えバレーの大会で優勝したこと、難しい料理を両親に振る舞ったことの3つの例で、それぞれワクワクした理由を考えてみましょう。
- 小さい頃にちょっと危険な森の中を友達と冒険
→理由:友達と秘密を共有したから、スリルを感じたことから、未知への好奇心から - 辛い練習を乗り越えバレーの大会で優勝
→理由:友達と感情を共有できたから、親に褒められたから、自分が活躍したから - 難しい料理を両親に振る舞ったこと
→理由:親に褒められたから、レシピ通りに作れたから、初めての料理だったから
「人との共有」「親に褒められる」といったことが共通点として出てきました。
他にも、未知への好奇心と初めての料理から「新しいことができる」といった言葉に変換して共通点を表すことができそうですね。
あなたが今まで生きてきた人生で経験したことのうち、その行動に至った理由の共通点を知ることが「自分を知る」ということに繋がっていきます。
自分を知ることで得ることができるメリットは?
ここまで読むと、自分を知ることでなぜ人生を幸せに過ごせるのか疑問に思ったのではないでしょうか?
理由は、良い面も悪い面も含めて全てが自分の要素であり、自分を含めた物事を在るがままに見ることができるようになるから。
人間は、生まれてからずっと常に評価される社会で生きているため、とにかく自分の弱みを隠し、強みを前面に押し出そうと強がってしまいます。
なぜなら、人生という長いスパンではなく、瞬間で喜怒哀楽を判断してしまうからです。
スポーツの辛い練習も、その先に勝利の喜びがあるからこそ頑張れるもの。
技術的にできないことも素直に認めて、練習量でカバーしたり、他の技術を伸ばしたりして工夫しようとします。
その先に勝利の可能性がなければ人間は頑張ることができません。
人生も同じです。
たとえ弱みがあったとしても、自分を知ることでその弱みも他の人の役に立てると実感できるようになります。
最初は少し恥ずかしくても、できない自分を在りのまま周りの人に話せるようになります。
「自分」という個人がかけがえのない存在だと思えるようになります。
「自分」という存在が認められると、他人もかけがえのない「一人の個人」として見ることができるようになります。
自己分析により、あらゆることのモノの見方がガラッと変わっていきます。
「なぜ」を4回繰り返すと物事の根本がわかる
根本原因分析という言葉をご存知でしょうか?
問題が発生した場合に、「なぜ起こってしまったのか」を4回繰り返すと問題の根本原因にたどり着くというものです。
この法則は、自己分析にも当てはめることができます。
自分の行動について「なぜ自分はその行動を選択したのか」を4回繰り返してみてください。
あなたの行動原理とも言える共通点を、より深く掘り下げることができるようになります。
自己分析のやり方
では、どのような方法で自己分析を行えば、自分の行動原理を知ることができるのでしょうか?
僕のおすすめであるマインドマップを使った自己分析です。
やり方を具体例を用いて紹介します。
マインドマップの自己分析をオススメする理由
自己分析にルールなどの決まったやり方はありません。
だからこそ、多くの人はどのようにやったら良いか分からずに中途半端な自己分析になってしまい「人生を幸せにするため」という自己分析の本来の目的を達成できていません。
まずはマインドマップを使用した自己分析を突き詰めていくことをオススメします。
具体的なメリットは以下の通りです。
- 短いキーワードで書いていくため、共通する言葉を見つけやすい
- 後から見返したときに見やすく、エピソードを思い出しやすい
- 脳が用紙の余白を埋めようとするため、話がたくさん出て具体的になりやすい
自己分析は「自分がその行動を選択した理由の共通点(行動原理)を見つける作業です。
用紙の見やすさ、共通キーワードの見やすさ、具体的なエピソードを掘り下げていく上で、他の自己分析の手法にはないメリットがあります。
マインドマップの自己分析への使い方・手順
それでは、実際にマインドマップを使用した自己分析の手順をご紹介していきます。
準備するもの
A4用紙100枚、色の種類が10色ぐらいあるマーカーを準備しましょう。
用紙は、見開きページが100ページ以上あるノートでも構いませんが、書き終わった後に広げて見ることができるためA4用紙100枚準備することをおすすめします。
A4用紙は横向きで使う
A4用紙は横向きで置き、用紙の中央に「自分を知るための問い」(後述)の1問を好きな色のマーカーで書きます。
文字だけではなく、イラストを使うと記憶に残りやすく、かつ思い出しやすくなります。
以下の図では、「幼少期どのような性格だったか?」を例に実際に書いています。
質問の答えを枝の上に書く
「幼少期どのような性格だったか?」という問いに対して、「怖いもの知らず」という言葉が思い浮かんできました。
中央から枝を生やすように線を伸ばし、その上に「怖いもの知らず」と書きます。
質問の答えとなる「事実」(エピソード)を書く
次に、「怖いもの知らず」という答えに関して、どんな「事実」(エピソード)があるのかをさらに枝を伸ばして書きます。
「怖いもの知らず」から線を伸ばし、その上に「事実」(エピソード)と書きます。
線の先には、「スキーは直線で滑る」と記入しました。
これは家族でスキーに行った時に、ブレーキを使わずに転ぶまでまっすぐ滑ってしまうという「事実」を短い文でまとめたものです。
「事実」(エピソード)を「ということは?」で言い換える
「スキーは直線で滑る」という「事実」(エピソード)を「ということは?」という質問で言い換えてみます。
具体的な事実からどのようなことが言えるのか変換する作業です。
ブレーキをかけなくても滑る自信があったため、「不可能・苦手なことは何もない」と書きました。
「ということは?」の答えに「なぜ?」「つまり?」を問いかける
「不可能・苦手なことは何もない」に対して、今度は「なぜ?」自分はそのように考えていたのか、「つまり」どういうことかを書く作業です。
「なぜ?」「つまり?」は何度繰り返してもOKです、書けるだけ書き出してみましょう。
運動や勉強が他の人よりできるとよく褒められていたため、「運動・勉強でよく褒められたから」と書き、さらに「優位性」と書きました。
「だったら?」で現在の自分に当てはめる
「なぜ?」「つまり?」の答えである「優位性の確信」について、そういう考えを持っている自分「だったら?」どうしたら良いのかを書く作業です。
相手に対して「優位性」を持っているとイキイキできる自分だったら、「人に教える仕事」と書きました。
「質問に答える」、「事実」、「なぜ?」「つまり?」、「だったら?」を繰り返す
上記までで一連の流れは終了です。
あとは、質問に答え、対応する事実を書き、なぜ・つまりを問いかけ、そんな考えを持っている自分はどうしたら良いのかを繰り返し問い続けます。
最初は、自分が「事実」を書いているのか、「なぜ」を書いているのか分からなくなってしまいますが、細かいことは気にせずどんどん書いていってください。
また、余白が空いてしまっても問題ありません。
1つの問いに詰まったら、次の質問に移ってください。
100問あるため、すべてに完璧に答えようとしなくて大丈夫です。
自分を知るための問いは?
「自分を知るための問い」を100問ほどご紹介します。
日常生活ではボンヤリとしか考えないようなことを、この機会にしっかりと考えてみてください。
導入
- なぜ自己分析をするのか?
- 自己分析をすることで何を得たいのか?
- 現在困っていることは何か?
幼少期
- 理想の職業は?
- 理想の生活は?
- 理想の年収は?
- どのような性格だったか?
- どのような家庭だったか?
- 自分の好きだったところは?
- 自分の嫌いだったところは?
- 一番楽しかったことは?
- 一番辛かったことは?
- 運は良い方だったか?
- あなたの使命は何か?
小学生
- 将来の夢は?
- 理想の職業は?
- 理想の生活は?
- 理想の年収は?
- どのような性格だったか?
- どのような食生活を送っていたか?
- 自分の好きだったところは?
- 自分の嫌いだったところは?
- 一番楽しかったことは?
- 一番辛かったことは?
- 一番仲の良かった友達は?
- 尊敬していた人は?
- 人の話を聞く方だったか?
- 運は良い方だったか?
- あなたの使命は何か?
中学生
- 将来の夢は?
- 理想の職業は?
- 理想の生活は?
- 理想の年収は?
- どのような性格だったか?
- 自分の好きだったところは?
- 自分の嫌いだったところは?
- 一番楽しかったことは?
- 一番辛かったことは?
- 一番仲の良かった友達は?
- 尊敬していた人は?
- 人の話を聞く方だったか?
- 外向的だったか、内向的だったか?
- ポジティブ思考だったか、ネガティブ思考だったか?
- あなたの使命は何か?
高校生
- 将来の夢は?
- 理想の職業は?
- 理想の生活は?
- 理想の年収は?
- どのような性格だったか?
- 自分の好きだったところは?
- 自分の嫌いだったところは?
- 一番楽しかったことは?
- 一番辛かったことは?
- 一番仲の良かった友達は?
- 尊敬していた人は?
- 周りから期待されていたことは?
- 人の助言を聞く方だったか?
- 外向的だったか、内向的だったか?
- ポジティブ思考だったか、ネガティブ思考だったか?
- あなたの使命は何か?
大学生・専門学校生
- 将来の夢は?
- 理想の職業は?
- 理想の生活は?
- 理想の年収は?
- どのような性格だったか?
- 自分の好きだったところは?
- 自分の嫌いだったところは?
- 一番楽しかったことは?
- 一番辛かったことは?
- 一番仲の良かった友達は?
- 尊敬していた人は?
- 周りから期待されていたことは?
- 外向的だったか、内向的だったか?
- 人の助言を聞く方だったか?
- ポジティブ思考だったか、ネガティブ思考だったか?
- あなたの使命は何か?
社会人
- 将来の夢は?
- 理想の職業は?
- 理想の生活は?
- 理想の働き方は?
- 理想の年収は?
- どのような性格だったか?
- あなたの強みは?
- あなたの弱みは?
- 自分の好きだったところは?
- 自分の嫌いだったところは?
- 一番楽しかったことは?
- 一番辛かったことは?
- 一番仲の良かった人は?
- 尊敬していた人は?
- 周りから期待されていることは?
- 外向的だったか、内向的だったか?
- 人の助言を聞く方だったか?
- ポジティブ思考だったか、ネガティブ思考だったか?
- あなたの使命は何か?
未来
- 何歳まで働いていたいか?
- 仕事で成し遂げたいことは?
- 一生を終えるまでにやっておきたいことは?
- 不安や悩みが何もない時に何をするか?
- あなたの使命は何か?
こちらの質問にすべて答えていれば、4〜6つ程度の似たような言葉が頻繁に登場するようになります。
その言葉こそが、あなたの人生において幸せを感じることができる「自分の価値観」、「自分は何者か」、「自分の軸」、「自分の行動原理」の答えです。
自己分析の限界
ここまで自己分析の重要性からやり方までをご紹介してきました。
ずっと読んでいただいたあなたはこのように思ったのではないでしょうか?
「自己分析はいったいどこまでやれば良いのか」
ここに自己分析の落とし穴が存在します。
たしかに自己分析をひたすら繰り返すことで、自分の行動原理を見いだすことはできます。
自分の経験から導き出したものなので、ある程度の納得感も持つことができます。
しかし、自己分析は意識的に自分の内面を掘り下げていく作業のため、自分で気づいていない一面については全く意識が向きません。
なぜなら、他の人にとって難しいことでも、あなたにとっては意識せずともできてしまう普通のことだから。
意識せずとも普通にできてしまうこの点こそ、スキルとは違うあなたの本当の強みです。
では、本当の強みに気づくためにはどうしたら良いのか。
答えは他己分析で、他の人に客観的にあなたを見てもらうです。
人と自分の違いは、他の人と接することでしか見えてきません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
就職、転職のためだけではない人生を幸せに過ごすための自己分析についてお話ししてきました。
自己分析は、ここまでやったら終わりというゴールがある訳ではありません。
そのため、自分一人だけでやり続けていても「本当にこれで合っているのか」という疑問がいつまで経ってもついてきます。
また、時間もかかるため、社会人にとってはなかなか実践しづらいものなのではないでしょうか?
根本自己分析では、対話とワークを通して自己分析と他己分析の両方を1日でできるように組み込まれています。
「自分は何者か」「自分の人生の軸」「自分の大切な価値観」に迷った時にはぜひお問い合わせください。
僕と同じように「人生を失敗してしまった」と考える人を一人でも減らすべく、根本自己分析のセッションを行っています。
メンタルケアカウンセラーとして多くの人のお役に立てるよう活動しています。。
根本自己分析のセッションからうつ病からどのように立ち直るかまで、どうぞお気軽にお問い合わせください。