箱庭療法という言葉は聞いたことがあるけれども、名前だけではよくわからない。

  • 箱庭療法はなんのためにやるの?
  • どんな効果があるの?
  • どんな手順でやるの?

そんな疑問にお答えしていきます。

箱庭療法について知りたい方には、ぜひ読んでいただきたい記事です。

箱庭療法とは

箱庭療法とは、クライエントがフィギュア、砂を使って箱の中に自己を表現したり、遊んだりしたりして行う心理療法の一種です。

人、乗り物、動物のフィギュア、そして砂自体を使用してクライエントが自由に創作したものから、カウンセラーがクライエントの心理状態を分析していきます。

 

自分の心の中にあるわだかまりを上手に言葉にできない経験がありませんか?

箱庭療法は、元々は言葉でうまく自己を表現できない子どもを対象として考えられましたが、現在では成人の治療にも使用されています。

成人の治療に使用する場合は、箱庭療法に加えて実際にカウンセラーと対話を行うケースが多く見受けられます。

 

クライエント自身が、自分でも意識できていることはカウンセラーにも説明ができます。

しかし、クライエントが気がついていない場合、言葉を使う対話的な手法では根本的な問題は見えてきません。

 

箱庭療法を用いることによって、クライエント自身も自覚していない無意識の部分を引き出すことができるのです。

箱庭療法の効果

箱庭療法の効果は以下のようにたくさんありますが、「心身症」というストレスによって身体的に様々な症状が出てしまう病気に対して有効です。

  • クライエント自身が新たな気づきを得ることができる
  • 砂に触れることでリラックスできる
  • 右脳を刺激することができる
  • 過去のトラウマを癒すことができる など

 

では、いったいなぜ箱庭療法が「心身症」に有効なのか。

その理由についてお話していきましょう。

 

厳密には違うのですが、分かりやすく説明すると人間には「意識状態」「無意識状態」があります。

 

カウンセラーに心身の不調について説明できる状態は、クライエント自身に自覚があるため「意識状態」と言えますね。

一方で、自分でもなんとなく体調が悪いといった状態で、カウンセラーに説明を求められても困ってしまう。

このような状態はクライエント自身に自覚がないため「無意識状態」ということができるでしょう。

 

箱庭療法は、言葉を使わずに手を使って創作するため、無意識状態を表現できるようになります。

カウンセラーはその創作物を見て、クライエントの心理状態を判断していきます。

 

注意点として、重度のうつ状態になっている方は、作品が出来上がるまでに時間がかかるといったこともあります。

箱庭療法の道具

箱庭療法に必要な道具は大きく3つです。

ここでは、実際に箱庭療法を行うにあたって用意するものについてみていきましょう。

道具①砂箱

箱庭の土台とも言える砂箱は縦57cm、横72cm、高さ7cmのものを準備します。

理由はなぜだと思いますか?

 

答えは、人間が無理なく全体を見渡せる広さだからです。

全体が常に見えている状態を作り出すことで、クライエントが自然と創作に集中できるようになっているんですね。

 

砂箱の内側は水色に塗り、水をイメージしやすくします。

水の流れには、気持ちを落ち着かせる効果があります。

道具②砂

砂箱の中に1cm〜2cmの高さまで砂を敷きつめます。

ある程度の高さになる砂を準備する理由は、クライエントが砂の高さを使って池や山を表現しやすくするためです。

 

砂の種類については明確に決まっていません。

世界で最初に箱庭療法を始めたと言われるドラ・カルフさんは、いくつもの種類の砂を準備してクライエントに選ばせていたそうです。

道具③フィギュア

フィギュアについては、明確な決まりごとがあるわけではありません。

現状は、人、乗り物、動植物、建造物などの中からカウンセラー自身が好みで決めています。

箱庭療法の流れ

箱庭療法を習得するのは難しいのでしょうか?

そんなことはありません。カウンセラーとして箱庭療法を実施する流れについてみていきましょう。

カウンセラーは砂とフィギュアを使用して、自由に好きなものを作るようにクライエントへ伝えます。
カウンセラーは、クライエントが何を言っても良い雰囲気を作り出しましょう。
時間は15分〜30分に設定をする(あくまでクライエントの進捗状況を確認しながら柔軟に対応する)
カウンセラーは、クライエントの創作状況(身振り・手振り)を細かく観察しましょう。
できあがったらクライエントにどのような場面なのかを説明してもらう。
カウンセラーは、クライエントの想い・気持ちに注目しましょう。

 

カウンセラーのスタンスは、あくまで「受容」です。

友人関係においても、何を話しても批評してくる人には相談はしませんよね?

箱庭療法を実施する前から、何を作っても良い雰囲気作り、何を話しても良い関係性作りを心がけましょう。

 

できあがった後も、クライエントが何を作ったかよりもどのような想い・気持ちで創作したかに注目してください。

想いの中に、クライエントの心が映し出されているからです。

箱庭療法をもっと学ぶためにオススメの本

箱庭療法についてもっと詳しく知りたい方はぜひ本を読んでさらなる知見を増やしてください。

遊戯療法の実際』

遊戯療法とは、主に子どもを対象に遊びを対話として捉えて行う心理療法です。

箱庭療法も遊戯療法の一種なのですが、その遊戯療法について学べる本です。

遊戯療法の全般について知りたい方へオススメの本です。

『夢の辞典ー夕べの夢が、明日のあなたを映し出す。』

箱庭療法、コラージュ療法の分析に役立つ夢辞典です。

携帯電話など現代の事例についても、読み解き方が書かれている本です。

 

カウンセラーの経験が浅いうちは、創作された箱庭を見ても解釈が難しいと思います。

そんな方に読み解き方を細かく教えてくれる良書です。

箱庭療法を体験するには

関東エリア限定となってしまいますが、箱庭療法を実際に体験できる場所をご紹介します。

はこにわサロン東京

東京・青山にある箱庭療法を専門として扱っているカウンセリングサロンです。

こころごとsalon

心理カウンセラーが作ったカフェで話題になった「こころごとcafe」が前身です。

気軽にカウンセリングを受けられる社会を目指しています。

飯田橋メンタルクリニック

東京・飯田橋にあるメンタルクリニックです。

うつ病、パニック障害などのこころの病に対して、認知行動療法を使用したケアを行なっています。

箱庭療法・心理カウンセリング東京

箱庭療法を専門にしているカウンセラーが対応してくれます。

ペアで受けられるなどの特徴があります。

最後に

いかがでしたでしょうか?

今回は、カウンセリング手法の箱庭療法についてご紹介いたしました。

 

心理カウンセリングについて興味がありつつも、箱庭療法は「難しい」と感じてしまったかもしれませんね。

ご安心ください、カウンセリング手法は他にも様々な種類があり、それぞれアプローチが異なります。

 

箱庭療法が苦手な方も、他のカウンセリング手法を用いればクライエントに寄り添うことは可能です。

カウンセリング手法については他の記事も追加していくので、ぜひそちらも読んでみてくださいね。